欧州の厳しいマクロ経済環境
以上の流れを概観すれば、発端からすでに1年以上経過した今となっても、欧州の財政問題はその終息のメドが立たず、そればかりか新たな局面に拡大しつつあるように受け止められる。
つまり、問題の表面化当初は、市場での資金調達に支障がある財政悪化国に対し、国際的な支援を行った「流動性」が主な焦点の段階であった。しかし、支援により時間の猶予を与え財政改革を促したものの、その後も改革は順調には進まず、今や財政悪化国の「債務返済能力」ぽ体がクローズアップされる段階に至りつつあるものと考えられる。
では、そもそも流動性が焦点の段階において、欧州財政問題を終息させるために必要な条件とはどういったものであろうか。それは、@各国で財政改革が進捗し、Aその結果、これらの国々で、競争力が回復することで経済成長が実現し、B加えて、財政問題の再発防止策等の管理態勢の実効性が確認されることと考えられる。
ここでは、一連の財政改革の取り組みのなかで、民間の活力活用等を通じ経済が競争力を回復することにより、その成長を実現することが期待されている。また、調達金利を上回る経済成長率を維持することが債務残高の削減に大きな効果を持つことから、逆に、経済成長が財政改革を促進することとなる。つまり、欧州財政問題の終息には、財政改革と経済成長が相互に寄与し合う好循環に入ることが重要な前提と考えられるわけである。
だが、財政悪化国を取―巻くマクロ経済環境は、緊縮財政、欧州中央銀行(ECB)の金融引き締め、それに伴うユーロ高など大変厳しい。経済を支える銀行の体力にも依然として不安感が強く残っている。さらに、ギリシヤなどでは、高止まりした労働コスト、限られた輸出産品等の競争力の脆弱性からの脱却を果たすことは容易ではない。
先週は米国の債務問題や景気を巡る不透明感を背景に76円台と史上最安値に接近するも、政府・日銀の円売り・ドル買い介入を受けて一時大幅反発した。月曜日は米連邦債務上限引き上げなどが暫定合意されたものの安堵感は僅かにとどまり、米格下げ懸念や7月米ISM製造業景況指数の下振れを受けた米景気減速懸念から、ドル/円は一時76.30円付近と史上最安値に接近。しかし、その後は「日本政府は介入を準備している。日銀は追加金融緩和策を検討している」と伝わるなど介入警戒感が高まった中、ドル/円の下値は限定的となった。FX投資家もア安堵できるであろう。