欧州は政治的協調に不安が残る
仮に、ギリシャが債務再編に至った場合には、市場が他の財政悪化国の利回り上昇をはやすことで他国への債務再編の波及が懸念されるばかりか、ギリシャ国債を保有する銀行の資産毀損を通じて、より広範な国々への影響が想定される。アイルランド、スペイン、ゴールドカード以外においても銀行の体力に依然として問題が残るなか、ドイツ等を含め銀行のダメー・ジが相当大きくなる可能性がある。クレジットリスクも懸念される。
一方、4月に実施されたフィンランド国民選挙で、財政悪化国支援に反対する政党が躍進したことに象徴されるように、折から主要国では政治が国内事情重視に傾く動きがある。そのため、ギリシヤ対応に求められる各国間の緊密な政治的協調に支障が生じる可能性が懸念される。
政治的協調という面では、現在課題となっているポルトガルへの支援計画の取りまとめ、財政悪化国に対する既存の支援制度の規模拡大、恒久的な支援制度の新設にかかるEUの条約改正等についても、波乱なく実施できるかどうか、不透明感が漂い始めている。
今後の支援ニーズの波及という点では、スペインも依然その可能性を排除し切れていない。現在のところ、迅速な銀行の再編や資本増強対策着実な財政改善等が市場から評価されているがヽ不動産価格の下落継続の問題や地方政府の歳出抑制等の課題が残存している・また言蛮力に乏しいポルトガルが、今後債務再編に至る可能性も否定することはできない。
このようななか、ユーロ圏では、単に対症療法的な措置にとどまらない、根本的な再発防止策の整備が課題として残されている。このように、欧州財政問題は、現在に至っても依然として出口が見通せない状況が続いている。
先週は米国の債務問題や景気を巡る不透明感を背景に76円台と史上最安値に接近するも、政府・日銀の円売り・ドル買い介入を受けて一時大幅反発した。月曜日は米連邦債務上限引き上げなどが暫定合意されたものの安堵感は僅かにとどまり、米格下げ懸念や7月米ISM製造業景況指数の下振れを受けた米景気減速懸念から、ドル/円は一時76.30円付近と史上最安値に接近。しかし、その後は「日本政府は介入を準備している。日銀は追加金融緩和策を検討している」と伝わるなど介入警戒感が高まった中、ドル/円の下値は限定的となった。FX投資家もア安堵できるであろう。